支給要件が緩和・拡充された 『キャリアアップ助成金』とは?(福岡市東区の社労士ブログ)
『キャリアアップ助成金』の主な変更点とは?
1.正社員化コースの賃金5%要件の緩和
旧要件では、『正社員化後に、有期雇用の際は支給していなかった賞与を支給することで5%上昇』となる一方、有期雇用労働者にも賞与を支給していた場合、正社員化後の賞与の支給時期・支給間隔によっては要件に該当しない可能性がありました。
同一労働同一賃金の中小企業での施行(2021年4月)に向け、諸手当や賞与について見直しを行う企業も多いと思いますが、新要件では(ア)(イ)か選べるという、より柔軟な対応ができるようになりました。
●旧要件
正規雇用等へ転換した際、転換前の6カ月と転換後の6カ月の賃金(賞与や諸手当を含む賃金の総額)を比較して、5%以上増額していること
※転換後の基本給や定額で支給されている諸手当を、転換前と比較して低下させていないこと
●新要件
正規雇用等へ転換した際、転換前の6カ月と転換後の6カ月の賃金を比較して、以下の(ア)または(イ)のいずれかが5%以上増額していること
(ア)基本給+定額で支給される諸手当(賞与を除く)の総額
(イ)基本給+定額で支給される諸手当+賞与の総額
ただし、転換後の基本給や定額で支給されている諸手当の合計額を、転換前と比較して低下させていないこと
また、2017年からの労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置(従業員500人以下の企業での労使合意による適用拡大)の導入に伴い、次の2コースの拡充も施行されました。
2.賃金規程等改定コースの拡充
すべてまたは一部の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給させた場合に助成。今回、加算措置が以下のように拡充されています。
●旧要件
3%以上増額改定した場合、以下の助成額を加算。
・すべての賃金規定等を改定:1人当たり14,250円
・一部の賃金規定等を改定:1人当たり7,600円
●新要件(旧要件を3%以上5%未満とし、新設)
5%以上増額改定した場合、以下の助成額を加算。
・すべての賃金規定等を改定:1人当たり23,750円
・一部の賃金規定等を改定:1人当たり12,350円
3.選択的適用拡大導入時処遇改善コースの拡充
有期雇用労働者等の社会保険適用について取組を実施し、新たに被保険者とした場合に助成。
●新要件(新設)
・労使合意に基づく任意適用に向けて、保険加入と働き方の見直しを進める取組(外部専門家を活用した保険加入メリットの説明、相談会等を開催することなど)を行った場合、19万円を助成。
・短時間労働者の生産性向上のため、研修制度や評価制度の導入を行った場合、10万円を加算助成。
また、労使合意に基づき社会保険の適用拡大の措置を実施する事業主が、被用者保険加入とともに基本給の増額を行う場合の助成において、これまでは3%以上の増額が対象でしたが、2%以上3%未満の増額も対象となりました。
本助成金には、ほかにも緩和・拡充された要件や、併用できる要件もあります。詳しくは厚生労働省ホームページをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/index.html