全国最低賃金 2025年改定

2025年(令和7年度)の全国最低賃金改定により、すべての都道府県で最低賃金が時給1,000円を超えました。
引き上げ幅も例年に比べて非常に大きく、アルバイト・パートを多く雇用する企業ほど影響を受けやすい改定となっています。

今回は、2025年の最低賃金の変更内容と、企業が今すぐ確認すべき実務ポイントを分かりやすくまとめました。


最低賃金とは?

最低賃金とは、国が定める
**「労働者に必ず支払わなければならない賃金の最低額」**です。

最低賃金を下回る賃金で雇用することは、最低賃金法違反となります。

最低賃金には以下の2種類があります。

  • 地域別最低賃金:都道府県ごとに定められる基本の最低賃金
  • 特定(産業別)最低賃金:特定業種向けに定められる上乗せ最低賃金

両方に該当する場合は、必ず高い金額を適用します。


【2025年】全国最低賃金 改定のポイント

2025年度の最低賃金改定の概要は次のとおりです。

  • 全国加重平均:時給1,121円
  • 47都道府県すべてで最低賃金が1,000円超
  • 都道府県別の引き上げ幅:63円~82円

過去最大水準の引き上げとなり、
人件費への影響は全国的に非常に大きい改定となっています。


なぜ最低賃金は引き上げられたの?

主な理由は以下の3つです。

① 物価上昇への対応

生活費の高騰を受け、労働者の生活を守るため賃金の底上げが必要とされています。

② 人材不足の深刻化

人材確保の競争が激化しており、最低ラインの賃金水準を引き上げることで雇用の安定を図る狙いがあります。

③ 国の賃上げ促進政策

消費拡大と経済活性化を目的に、国をあげて「賃上げ」を推進しています。


企業が必ず確認すべき 実務チェックリスト

最低賃金改定に伴い、以下の項目は必ず確認・対応が必要です。

チェック項目確認内容
賃金単価パート・アルバイト等の時給が新最低賃金以上か
雇用契約書時給・月給の記載が最新金額になっているか
就業規則・賃金規程規程内容が改定後の金額に対応しているか
求人票・広告求人媒体・ハローワークの時給表記が古くないか
人件費計算引き上げ分の年間人件費を把握しているか
社会保険賃金アップで新たに加入対象となる従業員がいないか

要注意ポイント

実務でよくあるトラブルは

  • 気づかないうちに最低賃金を下回っていた
  • 求人広告の金額が更新されておらずクレームになる

といったケースです。

違反を防ぐためにも、
全スタッフ分の一斉チェックを早めに行うことが重要です。


最低賃金引き上げによる企業への影響

■ 人件費の増加

賃金アップにより、固定費が上昇。
事前にコスト計算と価格戦略の見直しが必要です。

■ 採用・定着のチャンス

時給水準が上がることで、
応募増・人材確保につながる可能性があります。

■ 社会保険の加入者増加

賃金が上がることで、
新たに社会保険への加入対象になる従業員が発生することがあります。


今後の見通し

最低賃金は今後も継続して引き上げられる可能性が高い状況です。

そのため、

  • 毎年の改定を前提とした人件費設計
  • 雇用条件・賃金制度の継続的な見直し

を行うなど、中長期での対応が不可欠となります。


まとめ|最低賃金改定は「負担」だけでなく「機会」

2025年の最低賃金改定は、

  • 人件費増という「負担」
  • 人材確保・職場定着につながる「チャンス」

この両面を持つ重要な制度変更です。

正しく対応すれば、法令順守だけでなく、
採用力・企業イメージの向上にもつなげることが可能です。


福岡労務のサポート

福岡労務では、

  • 最低賃金対応の確認・アドバイス
  • 就業規則・雇用契約書の見直し
  • 社会保険手続きのサポート
  • 助成金活用のご提案

など、最低賃金改定対応をトータルで支援しています。


「うちは大丈夫か不安…」
「契約書や就業規則が古いままかも…」

と感じた方は、
ぜひ一度お気軽にご相談ください。