2025年 年末調整の改正点
2025年（令和7年）は、所得税の控除制度が大きく見直される年となりました。これにより、従来の感覚で “扶養控除” や “年末調整” を処理してしまうと、思わぬミスやトラブルにつながる可能性があります。
今回は、改正の背景と主な変更点、そして企業・事業所側で確認すべき実務対応を「わかりやすく整理」しました。
1. なぜ改正されたか／改正の背景
- 2025年の税制改正では、給与所得者の負担軽減や、経済状況の変化に対応するために、所得税の「基礎控除」「給与所得控除」「扶養控除（等）」の見直しが行われました。 国税庁+2OBC+2
- 労働環境の多様化、物価上昇、働き手の確保の難しさなどを背景に、これまで扶養や控除の対象から外れていた人たちにも「税制上の配慮」が拡大された形です。 Toshiba+1
2. 主な改正ポイント（2025年からの変更点）
| 項目 | 従来の制度 | 2025年以降の制度 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 一律 48万円（一部所得帯は段階的減額） 国税庁+1 | 合計所得金額に応じて 58万円～95万円（上限）に拡大。控除額は所得に応じて段階的。 OBC+2起業・創業・資金調達の創業手帳 – 「行動ベースの生きたノウハウ」を提供！+2 |
| 給与所得控除 | 最低保障額 55万円 国税庁+1 | 最低保障額が 65万円 に引き上げられ。 国税庁+1 |
| 扶養控除・配偶者控除 等の適用条件（所得要件） | 合計所得金額が48万円以下（給与収入であればおおよそ103万円以下）など。 すすむ・はかどる、契約学習「契約ウォッチ」+1 | 所得要件が引き上げられ、合計所得金額 58万円以下が対象に。これにより、給与収入123万円あたりまで扶養対象となる可能性。 年金ネット+2bk.mufg.jp+2 |
| 新設：「特定親族特別控除」 | なし | 2025年の改正で新たに創設。一定の条件下で、年齢・所得などに応じた控除適用の可能性。 国税庁+2起業・創業・資金調達の創業手帳 – 「行動ベースの生きたノウハウ」を提供！+2 |
📌 ポイント
この改正により従来、「税金がかかる／かからない」の“年収の壁”とされていた年収103万円の水準は、大きく変わる可能性があります。 エデンレッド+2TKCグループ+2
3. 企業・人事担当者が気をつけるべき実務ポイント
- 従業員に対して、「扶養控除申告書」などの見直し依頼および再提出をお願いする必要があります。特に、学生アルバイトやパート、配偶者控除対象者がいる場合は注意。 国税庁+1
- 年末調整用の書類様式や記入方法が変更されているため、配布タイミングと記入サポートの体制を整えましょう。 スモールビジネスを世界の主役に フリー株式会社+1
- 給与計算システムや源泉徴収システムを使用している場合は、新制度に対応しているかを確認。控除額や所得判定ロジックのアップデートが必要です。 国税庁+1
4. 中小企業／事務所目線でのメリット・注意点
- 従業員にとっては「所得税の負担軽減」「手取りの底上げ」「扶養対象拡大」の恩恵が期待できます。特にパート・アルバイト、扶養家族のある社員、学生など。
- 一方で、申告漏れや記入ミス、書類提出の遅れなど、手続き面のミスが増える可能性があります。企業側でフォロー体制を整えることが重要。
- 年末調整業務の負荷が例年以上に増すため、書類管理・確認体制の整備や、制度変更の周知が必要です。これをきっかけに、御社での「労務管理サービス／支援窓口」としての価値を提示するのも有効です。
5. 社会保険・勤労学生・副業社員への注意点
改正によって「扶養対象となるか」のラインが変わるため、特に次のような方は注意が必要です。
- 学生アルバイト／パート
- 副業や兼業をしている社員
- 扶養家族がいる社員（配偶者・子どもなど）
所得の合算や申告状況の確認、必要書類の提出を徹底するよう、周知してください。 起業・創業・資金調達の創業手帳 – 「行動ベースの生きたノウハウ」を提供！+2国税庁+2
6. まとめ／今すべきこと
2025年の年末調整では、控除制度の大幅な見直しにより、これまでの感覚で対応すると「申告漏れ」「控除漏れ」「申告ミス」が起きやすくなります。
そのため、以下の対応を早めに進めることをおすすめします。
- 従業員への制度変更の周知と、扶養控除申告書の再確認・再提出依頼
- 年末調整書類の様式・記入方法の確認および配布準備
- 給与計算・源泉徴収システムの設定見直し
- 扶養家族のある従業員やパート／アルバイトの多い職場では特に注意
福岡労務では、これらの対応に関するアドバイスや、書類配布サポート、制度説明会の実施なども承っております。制度変更で不安のある企業様は、ぜひお早めにご相談ください。
